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文春新書『英語学習の極意』著者サイト

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

34 観た・読んだメモ

令和3年1月1日から4月25日の実況です。項目ごとに、日付を遡る形で記載しています。
ひとつ前の 令和2年4月1日~12月31日 の実況はこちら。
ひとつ後の 令和3年4月26日~9月5日 の実況はこちら。


観 た:

令030424 テスラ エジソンが恐れた天才 @ ヒューマントラスト有楽町

令030424 ミナリ @ TOHO シネマズシャンテ

令030424 吉川 龍 展 今日と明日の間 ~Between Today and Tomorrow~ @ 日動画廊

令030424 小川佳奈子 個展 「裸になってなにが悪い vol. 5」 @ The Artcomplex Center of Tokyo

令030424 大島利佳 個展 みちるころ @ The Artcomplex Center of Tokyo

令030423 渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画 Watanabe Seitei: Brilliant Birds, Captivating Flowers @ 東京藝術大学大学美術館

令030423 王治洪 展 浮生若夢 @ 上野の森美術館 2F

令030422 三代宏大(みしろ・こうだい)個展 「コ(ミュニ)ケーション」 @ Gallery b. Tokyo

令030422 塩澤宏信展 妄想内燃機工匠 並走式巡行装置図鑑 @ ギャラリー椿

令030421 SILENT + Cute & Sweet, but... Vol.2」 ちくわミエル、冨岡想、空野菜摘子、タカハシマホ @ Sansiao Gallery + Masataka Contemporary

令030421 佐藤文音個展 絵本「ふしぎなニャーチカ」をめぐる展覧会! @ 不忍画廊

令030421 田中 武 展 @ 日本橋高島屋 美術画廊X

令030420 松田麗香 連環する世界 @ 東京オペラシティ アートギャラリー project N

令030420 ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 ストーリーはいつも不完全…… All our stories are incomplete . . . Colours of the imagination @ 東京オペラシティ アートギャラリー

令030420 斬られの仙太 @ 新国立劇場 小劇場

令030418 北井一夫「村へ、そして村へ」 写真家がカメラを持って旅に出た @ フジフイルム スクエア

令030418 第29回林忠彦賞受賞記念写真展 私の知らない母 笠木絵津子(かさぎ・えつこ) @ 富士フイルムフォトサロン

令030418 あごぱん -神々の水遊び-  飛瀧権現曼荼羅 @ s+arts

令030416 ALAYA/彩蘭弥 展 -せせらぎの咆哮- @ Gallery Q

令030415 浮雲 @ 神保町シアター

令030415 ミュージカル ゴヤ -GOYA- @ 日生劇場

令030414 清水智裕展「ミカエル」 @ KATSUMI YAMATO/無一物
(ドローイング4点購入 @ ー )

令030414 森口裕二 個展「道遠きして日、暮れる」 @ Gallery MUMON

令030414 MET HD Live (2010) - Wagner : "Walkuere"  @ 東劇

令030411 コーヒーが冷めないうちに @ Amazon Prime

令030409 あやしい絵展 @ 東京国立近代美術館

令030408 MOT コレクション コレクションを巻き戻す @ 東京都現代美術館 コレクション展示室

令030408 Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展 風間サチコ 下道基行 KAZAMA Sachiko SHITAMICHI Motoyuki @ 東京都現代美術館 1F

令030408 マーク・マンダースの不在 The Absence of Mark Manders @ 東京都現代美術館 3F

令030408 ライゾマティクス_マルティプレックス rhizomatiks_multiplex @ 東京都現代美術館 B1F

令030407 盧貝媚 Lu Beimei 展 @ Gallery Q

令030407 岡村翔平 展|Sur-Face @ Gallery Suchi

令030407 篠田守男彫刻展 @ アートスペース羅針盤

令030407 辛安尼(女偏に尼)(シンアンニ)展 パラレルワールド ー現実ではあり得ない不思議なことが並列して起こっている― @ ギャルリー東京ユマニテ
(「パラレルワールド II」購入 @ \20,000 )

令030406 ビバリウム Vivarium @ TOHO シネマズシャンテ

令030406 アーティストたちの室内画 -見慣れない日常- Strange Rooms: Interior Scenes by Modern Artists + 草間彌生版画展 @ 町田市立国際版画美術館

令030406 第24回岡本太郎現代美術賞展 + 企画展「暮らしのなかの藝術」 @ 川崎市岡本太郎美術館

令030405 JUNK HEAD @ TOHO シネマズ日比谷

令030405 サイトユフジ展 SAIT Yufuji "C - Canis" @ ギャルリー東京ユマニテ

令030404 門永哲郎 木鳥 Kotori ー春— @ 靖山画廊

令030404 ファンタジア Disney FANTASIA: the Original Classic @ 東劇

令030403 山岸千穂 個展 「眩耀」 @ Gallery MUMON

令030403 MET ライブ: レハール ≪メリー・ウィドウ≫ F. Lehar "The Merry Widow" (2015) @ 東劇

令030401 日本写真家協会創立70周年記念 日本の現代写真 1985-2015 @ 東京都写真美術館 B1F

令030401 澤田知子 狐の嫁入り Tomoko Sawada: To Be Bewitched by a Fox @ 東京都写真美術館 2F

令030401 白川義員写真展 永遠の日本 Eternal Japan @ 東京都写真美術館 3F

令030401 20世紀のポスター[図像と文字の風景]ビジュアルコミュニケーションは可能か? Constructive Posters of the 20th Century @ 東京都庭園美術館

令030401 まさに、ニッポンの印象派 没後70年南薫造 @ 東京ステーションギャラリー

令030330 中村恭子日本が作品展 書割少女のアンチノミー @ art space kimura ASK?

令030330 花束みたいな恋をした(We Made a Beautiful Bouquet) @ TOHOシネマズ上野

令030329 外田千賀展 白日夢 -Daydream- @ 枝香庵 Flat
(「祝福」購入 @ \88,000 )

令030327 二兎社特別企画ドラマリーディング3 振り返る人たち @ 東京藝術劇場シアターイースト

令030325 あのこは貴族 @ ヒューマントラストシネマ有楽町

令030325 樋口明宏 "変身 Transformer" @ 銀座SIX 蔦屋書店アトリウム

令030324 高嶋英男展 @ Gallery Q

令030324 多摩美術大学・版画専攻学生自主活動プログラム 「Raw と Low」展 鈴木遼弥・三村萌嘉 @ ギャルリー東京ユマニテbis

令030323 VOCA展 @ 上野の森美術館

令030323 日本人のへそ @ 紀伊國屋サザンシアター

令030321 ポーラ ミュージアム アネックス展2021 自動と構成 Automatism and Construction 上田暁子・倉和範・花房(鈴木)紗也香・山本しほり @ ポーラ ミュージアム アネックス

令030320 マシュー・ボーン IN CINEMA/赤い靴 Matthew Bourne's The Red Shoes @ Bunkamura ル・シネマ

令030320 子午線の祀り @ 世田谷パブリックシアター

令030319 アートフェア東京2021 @ 東京国際フォーラム ホールE+ロビーギャラリー

令030319 花束みたいな恋をした @ TOHOシネマズ錦糸町 楽天地

令030318 戸泉恵徳展 My favorite Twinkle @ Reijinsha Gallery

令030318 Faces and Heads 2021 @ みうらじろうギャラリー

令030317 Group Show α #7 山田七重・中島登詩子・苑宮 央・阿部絵美奈 @ ギャラリー アート★アイガ

令030317 異系のオルギア シノバズクロニクルIII 大島哲以・作田富幸・藤浪理恵子・鈴木明日香・池田満寿夫・村上仁美 @ 不忍画廊

令030316 小倉尚人展 祈りと宇宙 @ 日本橋高島屋本館8階ホール

令030316 第44.5回 人人展 @ 羽黒洞
(成田朱希「少女の記号2021」小品3点 購入 @ \24,000 )

令030312 新藤杏子個展 Memorandum @ YUKI-SIS

令030311 しりあがり寿 「寒い冬に焼きたての絵画展」 @ art space kimura ASK?

令030311 水津達大(すいづ・たつひろ) @ Bunkamura Box Gallery

令030311 ミヒャエル・クーデンホーフ=カレルギー回顧展 Michael Coudenhove-Kalergi Exhibition @ Bunkamura Gallery

令030311 春江水暖 Dwelling in the Fuchun Mountains @ Bunkamura ル・シネマ

令030310 DAU. ナターシャ DAU. Natasha @ シアター・イメージフォーラム

令030309 西川由里子展 今日もどこかで @ ギャルリー東京ユマニテbis

令030305 野獣派 昭和モダン 熊谷登久平(とくへい) @ 池之端画廊

令030304 Owls 2021 上野裕二郎 瀬戸優(ゆう) 萩原亮(りょう) 松下大一(だいいち) @ 四季彩舎

令030304 FACE展 2021 @ SOMPO美術館

令030304 中村屋サロン アーティストリレー第3回 浅見貴子展「変容のプロセス」 @ 中村屋サロン美術館

令030302 河原朝生(かわはら・あさお) @ Gallery Tsubaki

令030302 武田史子展 @ Gallery Tsubaki GT2

令030302 藪原検校 @ PARCO 劇場

令030301 新藝術校第6期成果展I O地点から向かいます 「現代美術の再発明」の再設定 @ ゲンロンカフェ(西五反田1-11-9 6F)+ ゲンロン五反田アトリエ(東五反田3-17-4 2F)

令030301 Pop-up Exhibition 音像絵句 安藤卓児 @ ギャラリーあるかぶる(上目黒2-41-9 B1F)

令030301 ゲンロン新藝術校第6期成果展II MEGURO NO SANMA @ rusu (下目黒3-4-9)

令030226 片山穣 "Chill" @ s + arts

令030226 佐藤可士和展 @ 国立新美術館

令030226 DOMANI・明日展2021 大田黒衣美 利部(かがぶ)志穂 笹川治子 高木大地 新里明士(あきお) 春木麻衣子 山本篤 | 竹村京(けい)・鬼頭健吾 袴田京太朗 @ 国立新美術館

令030226 令和2年度第44回東京五美術大学連合卒業・修了制作展 @ 国立新美術館

令030226 天国にちがいない It Must Be Heaven @ ヒューマントラストシネマ有楽町

令030223 小瀬真由子(おせ・まゆこ) 分からなかったことが分かって腑に落ちる @ 東京オペラシティ アートギャラリー

令030223 難波田龍起 初期の抽象 @ 東京オペラシティ アートギャラリー

令030223 千葉正也個展 @ 東京オペラシティ アートギャラリー

令030220 野々上聡人(Nonowe Akihito)個展 100年変わらない @ Mograg Gallery

令030219 飯嶋桃代 Recovery Room -- ましましいねつるかも @ ギャルリー東京ユマニテ

令030219 JAM 速水一樹|Kazuki Hayamizu @ ギャルリー東京ユマニテ bis

令030218 Yabiku Henrique Yudi: MOTION @ Diesel Art Gallery

令030218 版画と立体 言葉のいらない物語 その3 鈴木敦子・山中現・井崎正治 @ Bunkamura Box Gallery
(鈴木敦子「なつのあと・夢のあと」購入 @ \132,000 )

令030218 Rich Black Exhibition @ Bunkamura Gallery

令030218 写真家ドアノー/音楽/パリ @ Bunkamura ザ・ミュージアム

令030218 omnis EVOLVING イメージの解体 リアリティへの挑戦 @ 渋谷ヒカリエ8階 8/CUBE

令030218 ミュージカル マリー・アントワネット @ 東急シアターオーブ

令030216 輝板膜タペータム:落合多武展 Tapetum Lucidum by Tam Ochiai @ 銀座メゾンエルメス フォーラム

令030216 ローズのジレンマ @ シアタークリエ

令030214 柏原由佳(かしはら・ゆか) "1:1" @ Pola Museum Annex

令030213 Indirect 市野 悠|大坂秩加|チョン ダウン @ Gallery MoMo Ryogoku

令030212 盛田亜耶 オフィーリアのために @ ギャラリー・アートアンリミテッド

令030212 高木まどか ’ ヒビ ’ @ s + arts

令030212 リニューアル・オープン記念展 Ⅲ 美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語 Art revisited, beauty revealed: Six storied exchanges @ サントリー美術館

令030212 秋山亮二 津軽・聊爾先生行状記 @ フジフイルムスクエア写真歴史博物館

令030211 練馬区立美術館開館35周年記念展 35年の35点 コレクションで振り返る練馬区立美術館 @ 練馬区立美術館

令030210 聖なる犯罪者 Boże Ciało Corpus Christi @ ヒューマントラストシネマ有楽町

令030209 府中市美術館開館20周年記念 メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年 MADE IN FUCHU: Twenty Years of Open Studio Programs @ 府中市美術館

令030209 米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい Ken + Julia Yonetani: That is why I want to be saved @ 角川武蔵野ミュージアム 4階 Edit & Art Gallery

令030209 荒俣宏の妖怪伏魔殿2020 @ 角川武蔵野ミュージアム 1階グランドギャラリー

令030204 フリーダ・カーロに魅せられて Frida Kahlo @ TOHO シネマズシャンテ

令030204 ピカソがピカソになるまで Young Picasso @ TOHO シネマズシャンテ

令030204 天才画家ダ・ヴィンチのすべて Leonardo: The Works @ TOHO シネマズシャンテ

令030202 ルーブル美術館の夜 ― ダ・ヴィンチ没後500年展 Une nuit au Louvre: Leonard de Vinci @ Bunkamura ル・シネマ

令030130 ふるかはひでたか展「江戸東京訪ね歩き」 月刊日本橋のための原画を中心として @ 不忍画廊

令030130 重野克明新作銅版画展 ダダダ、 @ 日本橋高島屋美術画廊X

令030130 第69回東京藝術大学卒業・修了作品展 @ 東京都美術館(大学キャンパスはチケットとれず)

令030128 Make the KNOTS 「結び目」をつくる @ ギャラリー・フェイス トゥ フェイス

令030127 二兎社公演44 ザ・空気 ver. 3 そして彼は去った… @ 東京藝術劇場シアターイースト

令030126 KAAT EXHIBITION 2020 冨安由真展 漂泊する幻影 Yuma Tomiyasu: Shadows of Wandering @ KAAT 神奈川藝術劇場 中スタジオ

令030126 桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense. 12/12 @ 茅ヶ崎市美術館

令030126 第9回全国公募 入賞・入選作品展 「ドローイングとは何か」展 @ 東京都美術館 ギャラリーB

令030123 シュ・ニン(許寧)展 "Season ー Letter" @ 小山登美夫ギャラリー

令030123 藤森詔子 「舵を取れ!」 @ Gallery MoMo Projects
( "Honest Eyes" 購入 @ \46,200 )

令030122 ベルナール・ビュフェ 私が生きた時代 @ Bunkamura ザ・ミュージアム

令030122 舟越桂 私の中にある泉 @ 渋谷区立松濤美術館

令030122 舟越桂 版画作品展 @ Bunkamura Box Gallery

令030122 ニューヨーク 親切なロシア料理店 The Kindness of Strangers @ シネスイッチ銀座

令030122 フェードル Phedre @ Bunkamura シアターコクーン

令030121 パリの調香師 しあわせの香りを探して Les Parfums @ ヒューマントラストシネマ有楽町

令030119 門倉直子 門倉直子の寄り道 “姉さんと私” @ アート★アイガ
(「紋日」購入 @ \48,000 )

令030119 眠り展: アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで @ 東京国立近代美術館

令030116 ニューヨーク 親切なロシア料理店 The Kindness of Strangers @ シネスイッチ銀座

令030115 PSYCHOLOGICAL COLLAGE 星山耕太郎展 @ 日本橋高島屋 美術画廊X

令030115 絵描き、道楽、続けて百年、野見山暁治です @ 日本橋高島屋 美術画廊

令030115 100歳記念 すごいぞ! 野見山暁治のいま展 @ 日本橋高島屋 本館8階ホール

令030112 語らう3つのコレクション トライアローグ 横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション @ 横浜美術館

令030111 スルース ~探偵~ Sleuth @ 新国立劇場 小劇場

令030107 ハッピー・オールド・イヤー How to Ting @ ヒューマントラストシネマ渋谷

令030107 ザ・プロム The Prom @ ヒューマントラストシネマ渋谷

令030106 燃ゆる女の肖像 Portrait de la jeune fille en feu @ TOHOシネマズシャンテ

令030105 河鍋暁斎の底力 @ 東京ステーションギャラリー


読 ん だ:

令030424 ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか     (早川書房、平成24年刊)   Daniel Kahneman 著、村井章子 訳
(システム1とシステム2は、ぼくの次の著の基調をなす概念となる。本書に出会ってよかった。≪印象や考えのほとんどは、どこから出てきたのかわからないままに、意識経験の中に浮かび上がってくる。≫ 直観的解決の探索は自動的に行われるが、それがダメなときは、より時間をかけて頭を使う熟慮熟考へスイッチを切り替える。簡単な文章を理解したり、フランスの首都は?という問いから答えを連想する(記憶の自動機能)のはシステム1だ。システム1にとっては「自分の見たものがすべて what you see is all there is」だ。)

令030422 日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで     (中公新書、平成30年刊)   倉本一宏・今谷 明・大石 学・清水唯一朗・宮城大蔵(たいぞう)共著
(時代相を振り返る必読書。平安時代には武士のもとに従属する兵力は非常に少なく、武家の棟梁とは呼べぬ軍事貴族だった。上皇は天皇ではないから汚れ役の実行が可能で、ゆえに武家に命じて寺社による騒乱を鎮圧でき、それが院政を必然のものとし、武家を政治の表舞台へ登場させることにもなった。明治政府の最大派閥は薩長にあらず、実務を支える旧幕府官僚だった。幕末に開国へと交渉を導いたのも、国際関係を解する若手現実派の幕臣、すなわち昌平黌エリートたちだった。日本の旧・新憲法がともに簡素なのは、改正が見込まれるものは法令にゆだねるほうが政治的コストがかからないという、欧米の学者から学んだ知恵による。日清戦争後の台湾鎮圧戦ではなんとゲリラ戦とマラリアで5千人ちかくが戦病死。1914年に成立した大隈内閣の与党だった立憲同志会は山県有朋ら元老の影響力を排除しようとして独自路線に走り、対華21カ条要求という稀代の失策をおかす。)

令030415 短歌 哀悼 岡井隆     (角川文化振興財団、令和2年10月号)   
(<通用門いでて岡井隆氏がおもむろにわれにもどる身ぶるい> 多人格性を映像で見せる。<薔薇抱いて湯に沈むときあふれたるかなしき音を人知るなゆめ> ことばそのままがあらわすイメージをそのまま追うだけで別次元の情念にたどりつく。小池光氏が「岡井隆は自己否定に次ぐ自己否定で、岡井隆を演ずる岡井隆みたいな構造になって最後まで行った人」と。穂村弘氏は『鵞卵亭』がベスト歌集と。小池昌代氏は『五重奏のヴィオラ』を。『土地よ、痛みを負え』『人生の視える場所』『鉄の蜜蜂』『神の仕事場』『暮れてゆくバッハ』『ネフスキイ』『臓器(オルガン)』。)

令030410 春の庭    (文藝春秋、平成26年刊)   柴崎友香 著
(写真集『春の庭』が生まれた住宅地の一区画に日々、絵を塗り重ねていく。本作そのものが文字による写真集だ。)

令030408 歴史を活かす力 人生に役立つ80のQ&A    (文春新書、令和2年刊)   出口治明 著
(梅屋庄吉 1869~1934. この人がすごい。14で上海に渡り、26で香港に写真館開業、その後シンガポールで映画で大当たり、巨万の富で孫文を支援した。熱い生気。|「開国・富国・強兵」の大構想を描き推進した阿部正弘を高く評価。明治維新も阿部正弘の道程だ。|近代国家の基礎を築きルネサンスの先駆けとなったローマ皇帝フェデリーコ2世。|クリスマスとパン・ワインをミトラス教から、聖母子像をイシス教から取り入れたキリスト教は、異民族侵入後のローマ帝国の情報網としての重宝さを売りに、国教化を勝ち得る。|いまに伝わる『孫子』はじつは曹操の智慧の反映。|いわゆるシルクロードは通商路としてはほとんど機能せず。通商は海の道によった。|イタリア・フランス料理の淵源はアッバース朝の宮廷料理。料理を一品ずつ出すスタイルは、その後に寒冷なロシアの地で誕生。中国料理の高温油料理は、宋代に石炭とコークスによる火力革命で生まれた。|「大化の改新」は、いまは「乙巳(いっし)の変」と。)

令030407 茄子の輝き    (新潮社、平成29年刊)   滝口悠生(ゆうしょう)
(「花束のような…」で有村架純さんが静岡出張の菅田将暉くんに「読めば」と渡した本。離れてしまった妻・伊知子への思いを中心にすべてが回っている。未練や思慕とは少し異なり、伊知子についての記憶が自分の存在証明になっているかのように。|千絵ちゃんの自然な割り切り方がいい。「千広くんが鳴らしたはじめの音の、次の音を私が鳴らしてみることだ」。緒乃ちゃんもゆるくかわいい。それにしても、次の1歩が踏み出せない主人公だ。)

令030405 あひる    (書肆侃侃房、平成28年刊)   今村夏子 著
(おばあさんに纏わりつく「何気ない日常」は微妙にズレている。それを「心がざわつく」と呼ぶ。)

令030404 私たちがやったこと    (マガジンハウス、平成14年刊)   Rebecca Brown 著、柴田元幸 訳
(ドライで、ユーモラスで、現実の本質に向き合う非現実。現代アートをノベライズしたみたいな7つの短篇。「よき友」(A Good Man)のジム曰く「腰抜けになってるときに話すのは、ウソ。でもよかれと思って話すのはストーリーさ」。表題作 Folie a Deux の冒頭「安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意した」。)

令030401 Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法    (サンマーク出版、令和2年刊)   Rolf Dobelli 著、安原実津 訳
(人間の本性は自然の脅威にさらされつつ狩猟の集団生活をしていたころに養われたもの(というか、そういう生き方に適合できない遺伝子は滅びた)と考えるところから出発すると、いろんなことが読み解ける。|長時間の自制や度々の決断でも精神力を使い果たす。そしたら、休憩か食事だ。|人間はとかく「理由」を知りたがる。根拠も中身もない空疎な口上であっても。|死亡前死因分析。「いまが1年後だと想像してみましょう。資料にある計画を実行したが大失敗でした。計画が失敗に至るまでの過程を書いてみてください」。その分析で、計画が内包するリスクがわかる。|ひとつの課題は20~50の段階に細かく区分して各個撃破。|友人選びや信用できる人を見極めるときは、考え込まず直観に頼るほうがいい。石器時代から繰り返している決断だからだ。)

令030331 20世紀美術     (岩波新書、平成6年刊)   宇佐美圭司 著
(バーネット・ニューマンやフランク・ステラらが行きついたニューヨーク派のアメリカン・サブライムの不毛さ、砂漠化、表象空間の否定という迷い道(=作品を行為の証拠にすぎないと考えること、ないし還元を推し進めて行き着いた単なる素材群;自らは何ものをも表象したり再現したりしない造形;何を描くかという問いをどんどん辺境に追い込んでいくこと)への批判は率直で、ほっとさせられる。そこに至ることに躊躇したところがマチス、ピカソ、ミロの偉いところだと。ミニマルアートについても、「均質化の危機を体現しており、それが危機である以上、そこに藝術表現の住み家はないと思う」と。|デュシャンはレディメイド作品について「鑑賞への無関心、趣味の欠如」と言っている。ペシミズムでありニヒリズムの極北だ。|点描法とは色光が対象から目にやってくる視覚の原理的な姿に視覚世界を還元する試み。すなわち recognition を cognitionに戻したいという還元への情熱。いっぽうキュビズムは、ものではなくその前段階の骨組みを描き、遠近法を排除し視点を定めないことにより認識統一以前のさまざまな感覚への通路を回復するという還元への試み。)

令030329 超早わかり現代俳句マニュアル     (立風書房、平成8年刊)   夏石番矢 著
(十数年前、夏石氏の作品が颯爽として見せるようすを嫌悪したが、いま読むとこれもありかな。「俳句は私たちが私たちのために作る呪文である」と。そもそも 季語+575 に思い入れを持たず、世界への向き合いかたで短詩を分類しようとする。第2部「20世紀日本俳句ガイダンス」は俳句の志向のパラダイムとして、心理主義、社会批評、自然諷詠、暗喩主義、コスモロジーの5つの軸を立てる。|漱石の「恐ろしや経を血でかく朧月」「枯野原汽車に化けたる狸あり」の奇想天外。草田男の「寒き公園「殺さざるものは食ふべからず」」。原石鼎「高々と蝶こゆる谷の深さかな」。茅舎「ひらひらと月光降りぬ貝割菜」。誓子「冬日没る金色(こんじき)の女体姦せられ」。兜太「華麗な墓原女陰あらわに村眠り」。)

令030327 渋沢栄一 「日本近代資本主義の父」の生涯    (幻冬舎新書、令和元年刊)   今井博昭 著
(ぼくの関心は、栄一がいかにしてあれほど多くの企業を起こしたかというところだが、答えは「事業を任せられる人材を見つけて、自らは少額出資のみ」という方法論の由。本書は、大蔵省を辞して完全に実業界の人となるところで終わる。大河「青天を衝く」もそうだとすると、残念だが。|大久保利通を社会革新のひとと思い尊敬していたが、どうも明治維新後の近代化の諸相はひとえに栄一の設計図によるようだ。利通はとにかく旧幕臣を遠ざける偏屈者で、栄一を嫌った由。)

令030323 近未来シミュレーション 2050日本復活     (東洋経済新報社、平成28年刊)   Clyde Prestowitz 著、村上博美 監訳、小野智子 訳
(Too good to be true なストーリー。直近の日本の姿は「政府と企業間の協力関係や意思疎通がほとんど消滅し、諦めムードが日本を覆っている」というもの。ここに賢者グループの再生委員会が指針を提示して日本を再生にもっていくのだが、大きなカギとなるのが英語第二公用語化と移民人財。英語教育は、現在の無能な英語教師を退出させ民間の講師を導入するとともに、オンライン指導プログラムによる自習、高2生の1年留学、テレビ番組の日英字幕化がカギになっている。科学技術分野では、ナノテク、長寿医療、ソフトウェア開発へのオープンソースによる参入がカギ。2030年に旧来の原発が全廃され、かわりに15基の高速増殖炉(IFR)設置。JA解体。都道府県の代わりに15の州を設けて大幅な権限移譲。……残念ながら、諦めムードのまま読了。)

令030321 侏儒の言葉・文藝的な、余りに文藝的な     (ワイド版岩波文庫、平成25年刊)   芥川龍之介 著
(「危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である」まさにそう。共産党員にとって、ぼくは危険思想の持主だ。|「恐らくは神も希望通りにこの世界を造ることは出来なかったであろう」|「桃李言わざれども、下自ずから蹊を成す」は「桃李言わざれば、だ」とは至言。||森鴎外にはかばかしい詩歌のないことの指摘。なるほど漱石には漢詩も俳句も名高いが、鴎外の作は読まれていない。この辺に鴎外の文学性のありかたを見てとるところが鋭い。いっぽう、漱石については才気煥発、老辣無双と形容する。日本の詩形は、短歌や俳句以外にも催馬楽や平家物語や謡曲、浄瑠璃などの韻文に、必ず幾多の詩形がねむっているのに違いないというのも卓見。ピカソについては「いつも城を攻めている」「兜の毛は炎に焼け、槍の柄は折れ」と形容する。いっぽうマティスは「海にヨットを走らせている」「武器の音や煙硝の匂は起こって来ない」と。||朔太郎のアフォリズム集に『新しき欲情』『虚妄の正義』。)

令030320 The Expanding Universe of English II     (東京大学出版会、平成12年刊)   東京大学教養学部英語部会 編
(サラエボのサバイバルガイドのダークなウイット。フラーレンの特性の数々も本書ではじめて知った。)

令030317 Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法   (サンマーク出版、平成31年刊)   Rolf Dobelli 著、安原実津 訳
(「距離をおく」「遠ざける」「余計なことに関わらない」「自分の領域を明確にする」というコンセプトの周りをすべてが回っている。とくに歳をとったら関わることをぐっと絞り込もう。頭のいいひとは問題を解決するが、賢明なひとはあらかじめそれを避ける。|モノを買うより、何かを経験することに投資したほうがいい。我々は記憶の価値を過大評価し、いまの経験の価値を過小評価している。|ある事実を前向きに解釈できるかどうかで人生の質が決まる。|脳がストーリーを作ろうとするのは、それによってデータが圧縮できるから。|自分の領域でないことに意見がないのは、知性の低さの表れではなく、知性の表れそのもの。自分が思考の対象とするテーマは意識して自分で選ぶようにすればいい。イデオロギーに関わるのはやめよう。|ストア派の哲学者曰く「まだ持っていないものについて考えるよりも、いま持っているものを持てていなかったらどのくらい困っていたかについて考えたほうがいい」。「心の引き算」で幸福感が高まる! でも英ちゃんは一笑に付した(笑)|ゴッホのような生き方をするより、ゴッホの絵を壁にかけておくほうがいい。けれど一番いいのは、できるだけ多くの現代のゴッホたちと交流をもつことだ。)

令030312 脳は美をいかに感じるか ピカソやモネが見た世界     (日本経済新聞社、平成14年刊)   Semir Zeki 著、河内十郎 監訳
(人間の脳は2歳までに光と像の処理能力を培わないと、正常な視覚を得られない。絵画の本質は、曖昧さ・両義性を駆使して事象を普遍化・恒常化して示し個別を超越することにより喚起力を増大させるところにある。それが「現実・実物よりもリアル」の意味するものだ。キュビズムと印象派は、対象への向き合い方において対局をなす。相貌失認という現象が逆に、顔面の部位を即時に総合する脳の能力の偉大さを見せつける。そして色彩視は単なる光の波長の認識にとどまらず、環境が与える照明の波長を引き算しつつ相対視することによりモノの固有の色彩の認識を可能にしている。それは人間の直観に組み込まれているので、相対視から自由になるためには脳の能動的な作業が必要。モネがルーアン大聖堂の連作を描いたときには恒常性のメカニズムを可能なかぎり凌駕する記憶と知性が必要だった。だからルーアン大聖堂の連作にモネはアトリエで手を入れることができた。|すべての抽象的な作品は、物語絵画や具象絵画と比較して、脳内の より限定された領野を活性化させる。マグリットやデ・キリコ、マックス・エルンストなどの作品のように、人間の視覚的世界に関する経験との葛藤を起こす作品は、フォーヴィストの絵で活性化される前頭葉の部分を強く活性化させる。)

令030311 短歌 第66回角川短歌賞発表 田中翠香「光射す海」・道券はな「嵌めてください」    (角川文化振興財団、令和2年11月号)   
(ドキュメンタリーの詩化と、擬物化の視点で性を捉えた斬新な感性の大賞2作。選考座談会も充実している。)

令030309 詳解ポーランド語文法     (水声社、令和元年刊)   川井正彦 著
(不適当な記述や誤植の目立つ本ではあるが、ともかくも本文703頁の大著。)

令030307 脳は美をどう感じるか アートの脳科学    (ちくま新書、平成24年刊)   川畑秀明 著
(鳩は訓練するとモネの作風とピカソの作風を区別し、印象派とキュビズムを区別することができ、上手い絵と下手な絵の区別までできるようになるというから、アートは人間の生物的根源に根差しているのだ。ヒトが快感を感じるには美的対象は複雑すぎず単純すぎないていどの秩序をもつものである必要がある。ここに、写真とは別に絵画が存在する意味がある。絵を抽象画に特異的に応答する脳の活動部位はまだ見つかっていないという。)

令030228 さあ才能(じぶん)に目覚めよう あたなの5つの強みを見出し、活かす     (日本経済新聞出版社、平成13年刊)   Marcus Buckingham/Donald O. Clifton 著、田口俊樹 訳
(読後に Strength Finder サイトで自己テストをやってみた。やはり「学習しそれをひとに伝える」「ストーリー重視」が自分の強みと出た。そして、成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりがいちばんの強みとして持っている分野なのだ。|ウォーレン・バフェット曰く「もしきみたちと私に何らかの違いがあるとすれば、私は毎日朝から晩までこの世でいちばん好きなことをしている。ただそれだけのことではないでしょうか」。スピノザ曰く「ほんとうの自分でいる。そしてそうなれる人間になる。それが人生における唯一の目的である」。|マネジメント職に適していないが立派な人材を組織でどう報いるかについて、昇進以外の方法で報いていくキャリアパスを設定することを強く主張している。この辺は、よき組織論。)

令030225 画家とモデル 宿命の出会い     (新潮社、令和2年刊)   中野京子 著
(『藝術新潮』平30~令元の連載もの。ひとりひとりの画家の人生と特質をひきしまった文章で表出するわざは、さすが。彼女の諸著は美術評論家の評論文よりもためになりそうだ。レンピツカの画集をよくよく眺めるきっかけともなった。)

令030223 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」     (光文社新書、平成29年刊)   山口 周(しゅう)
(他社をなぞるだけのレッド・オーシャンから抜け出るには、内発的な「真・善・美」の基準が不可欠。より高品質の意思決定を行うためには、主観的な内部のモノサシが必要。何が真・善・美なのかを純粋に追求してきたのは宗教および近世までの哲学、そして物語の体裁をとった文学による考察だ。|堀江貴文氏について ≪「反逆児」のイメージは彼流の涙ぐましいパフォーマンスによるイメージ操作の賜物であり、実際はルールの線引きに関して極めて敏感な、繊細で優等生肌の人物と考えたほうがいい≫ と言ってのける、みごとな洞察力。|アーレント曰く ≪悪とは、システムを無批判に受け入れること。それは我々の誰もが犯しかねないもの。≫ 過去の哲学の歴史はすべて「システムへの疑い」を起点にしている。だから哲学の(コンテンツではなく)プロセスやモードを学ぶことで「無批判にシステムを受け入れる」という悪に人生を絡めとられるのを防げる。)

令030219 カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻     (光文社古典新訳文庫、平成19年刊)   F. M. Dostoyevsky 著、亀山郁夫 訳
(作家が「第二の小説」を書くことなく逝去したことが、つくづく残念。訳者による作品論、読み応えあり。)

令030212 Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法     (サンマーク出版、令和2年刊)   Rolf Dobelli 著、中村智子 訳
(TED Talk で頻繁にテーマとなる cognitive mistakes がテーマ。群れの他人らに従って行動してしまうのは、そうやって遺伝子を残してきたサガらしい。人間の知覚は「確率」を上げる/下げるということに鈍感で、これがさまざまの誤りにつながる。|参加者が多くなるほど参加意欲は低下するが、日本では「社会的手抜き」はほとんど起こらない。ドイツやスイスでは、グループのメンバーができるだけ異なる分野の専門家で構成されている場合にチームワークがうまくいく。|幸福感も不幸な思いも、3ヶ月で消える。≪ポジティブな効果を長続きさせるためには、できるだけ多くの自由な時間を手に入れ、自分の意思で行動しよう。たとえ収入が減ることになったとしても、もっとも情熱を感じられることに時間を割き、友情をはぐくもう。≫ ≪本物の知識を持ち合わせている人は、自分が知っていることと知らないことをよくわかっている。≫)

令030211 ミネルヴァ日本評伝選 グルー 真の日本の友     (ミネルヴァ書房、平成23年刊)   廣部 泉 著
(「日本史」の枠ではもはや20世紀は理解できない。大東亜戦争の米国側の思惑・思い違いや揺れるプロセスを知るのに格好の書。野村吉三郎やスタンレー・ホーンベックなど無能人士にも歴史は大きく翻弄された。|グルーは外交官として至極恵まれた経歴と言えるが、個々の局面で意に染まぬことを何と多く経験したことか。途中でスネたり投げ出したりせず、柔軟なる忍耐でひたむきに前進した真の愛国者だ。|昭和10年代の日本の追い詰められ方は、数年後の中国だろう。不測の開戦に至らぬよう misperception をいかに排除するか、教訓を与えてくれる。それにしても、1941年1月の時点で、ペルー発の噂として「日米国交断絶のおりは日本軍全軍で真珠湾に大規模奇襲攻撃を試みることを計画している」という話がグルーからハルへ伝えられているとは! 近衛文麿が首脳会談を望んだときルーズベルトが当初は乗り気であったとは! 1945年5月に入ると、皇室の維持を日本に伝えれば終戦できそうな状態だったが、原爆を使用したい上層部が広島・長崎とソ連参戦までこれを先延ばしにする。まことに、グルーの言に米国政治が従っていれば、日米戦争は起きず、開戦しても沖縄戦直後には終戦できていたろう。)

令030206 英語独習法     (岩波新書、令和2年刊)   今井むつみ 著
(自己研鑽のすべを知っている人向けの名著。『英語学習の極意』の総論や銀座ビジネス英語gymの指導法に通じる部分も多い。|認知心理学の key concept たる「スキーマ」が本書のキーワードになっている。「ある事柄についての枠組みとなる知識のシステム」であり、多くの場合、もっていること自体を意識することがないもの。「共起」も本書のキーワードで、ある単語を適切に使うには、いっしょに使われる単語についての知識が欠かせないと指摘する。|母語話者がもつ生きた「単語」の知識には以下が含まれる:1.単語が使われる構文 2.共起する単語 3.頻度 4.使われる文脈(フォーマリティ情報含む) 5.多義構造(意味の広がり) 6.概念の意味ネットワーク。|SkELL の使い方を教えてもらった。今後のレッスンに活かしたい。Similar Words機能が、ヴィジュアルがしゃれた thesaurus だ。いっぽう WordNet は hypernym や hyponym で名詞の階層構造を示してくれるもの。おっつけ使ってみよう。|リスニングについての見解はぼくと同じ。≪語彙が少ないうちは、知らない単語がたくさん含まれている教材を無理に聴く練習をしても意味がない。リスニングに時間を使うより、まず語彙を強化することと、その分野の記事や論文を読んでその分野のスキーマを身につけることに時間を使ったほうがよい。≫≪ひとは入ってくる情報を、まったく何も考えず受動的に受け取っているわけではなく、つねにスキーマを使って次の展開を予測しながら聴いている。≫|ライティングについては ≪英語スキーマはライティングの練習で作っていくことができる。ライティングなら、生徒が書いた英語の作文に教師が1人ずつフィードバックをすることができる。作文も書きっぱなしでは向上しない。その意味で教師のフィードバックはとても大事だし有効である。≫|学習のペースについては ≪はじめのうちは集中して学び、その後は少し間隔を空けながら気長に学ぶのが合理的である。長期的には間隔学習のほうが記憶の保持もよく、深い知識が得られる。≫ )

令030204 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会4     (PHP新書、令和2年刊)   Emmanuel Todd 著、大野 舞 訳
(資本主義諸国の社会構造の歪みを腑分けする、訳者による聞き書き。欧米諸国の社会の上層部が殻に閉じこもる「バカ殿」現象。≪日本では東大卒のホワイトカラーが農家や漁師たちと罵り合いながら対立するのは考えにくいが、フランスではそれがありうる。≫ 日本社会の上層のエリートは自国の大衆に近しい感情をいだく。日本人は身分に序列があることを認めており、かつ身分に伴う傲慢がない。上層部の下層部への軽蔑や、下層部の上層部への憎しみはない。しかし他国は必ずしもそうでない。|日本の大問題は少子化。女性がふつうに仕事をして子供を産める環境づくりが必要。日本の悩みは完璧主義。江戸時代のような、いささかの無秩序を受け入れることで創造性が高められる。日本は米国のパートナーとして重要性を増しており、交渉力は高まっているはず。米国は中・露をともに敵に回すのではなく、露を味方に引き入れることで中国の潜在軍事力を大きく弱められる。|ユーロはドイツをヨーロッパの覇者とするのみで、各国政府が通貨政策を打ち出せなくなりドイツ以外の国々を没落させた。フランスは、独自の通貨を持てぬゆえに独自の経済政策をとれず、社会がマヒした。|ポピュリズムとは、大衆がエリートを失った状態。|あるべき保護主義とは、商品の交換という側面における自国の保護であり、人と資本の流通は自由を維持すべき。それでこそ、投資家を惹きつけ、ダイナミックな人材を国内市場に呼び寄せることが可能。|ドイツは太古の昔から移民と創造的な関係を築いてきた。プロイセンは、フランスから逃げてきたユグノーを含む外国人によって築かれた国だ。)

令030204 オペラがわかる101の質問     (アルテスパブリッシング、令和2年刊)   Sabine Henze-Doehring/Sieghart Doehring 著、長木(ちょうき)誠司 訳
(なんと、モーツァルトの「イドメネオ」までのオペラ初期作品は初演後すぐ舞台から消え、その他のオペラも再評価されだしたのは19世紀末という。|マイアベーア「悪魔ロベール」「ユグノー教徒」「預言者」「アフリカの女」、フィリップ・グラス「アッシャー家の崩壊」「浜辺のアインシュタイン」「サティアグラハ」「アクナーテン」、Sir Peter Maxwell Davis, ジェイク・ヘギー "Dead Man Walking", "Out of Darkness"; John Adams「中国のニクソン」「クリングホッファーの死」”Doctor Atomic" , Wolfgang リーム|ペーテル・エトヴェシュ、クシシュトフ・ペンデレツキ「ルーダンの悪魔」「黒い仮面」、アーリベルト・ライマン「リア」、クリスティアン・ヨースト「ハムレット」、モニューシコ、エルケル|オペラ劇場数:ドイツ87、米国72、イタリア29、フランス28、ロシア24。)

令030203 カラマーゾフの兄弟 4     (光文社古典新訳文庫、平成19年刊)   F. M. Dostoyevsky 著、亀山郁夫 訳
(第4部。最後まで、長大なる独白ないし独演が読みどころなので、かくも魅力に満ちていながら演劇化しがたい。ドストエフスキー自身の多面性を腑分けして人物化している作品のように思える。いつか、読みどころだけ部分部分を原作のロシア語で読んでみたいものだ。)

令030130 食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術     (アチーブメント出版、令和元年刊)   満尾(みつお)正 著
(「脳神経を活性化する」ために必要な微量成分に注目し、不足はサプリで摂取せよと勧める。セロトニンによって幸福感を得るために必要な成分は、蛋白質に加えて、「ビタミンB6・鉄」(蛋白質代謝)、「ビタミンB12」(脳神経の正常機能)、「カルシウム・マグネシウム」(神経伝達物質を放出する際に必要)。ココナツオイル(エクストラバージンのものが良い)も、脳細胞を働かせるうえで効率的エネルギー源となり、アルツハイマー病の脳の神経細胞のエネルギー源としても効用あり。|高温調理は AGEs(終末糖化産物)を生み、老化を促進する。「焼く・炒める・揚げる」ではなく「茹でる・煮る・蒸す」を勧める。)

令030121 現代アートをたのしむ 人生を豊かに変える5つの扉(ドア)    (祥伝社新書、令和2年刊)   原田マハ・高橋瑞木 著
(対談本はダレることが多いが、本書はいい。|高橋さん:≪現代アートは「いま、自分が生きている世の中の複雑さを表すもの」≫ ≪現代アートが難しいと思われるのは、現代アートがみんながすでに知っていることや、わかりきっていることを表現するものではないから。人々が知っていることでもそれを別の見方から見せる表現である。≫ ≪人間は、きれいなものを見たいという強い欲望もある一方で、すごくおぞましいものを見たいという逆の欲望もある。≫ ≪20世紀のアートは、モノとしての作品があるという考え方に抗ってきた歴史。言葉をアートにしたり、社会に対するアクティビティーをアートにしたり。≫ ≪ヨーゼフ・ボイスは、数々のパフォーマンスで使った道具や、パフォーマンスの結果できた物体や記録を作品としているところもある。キリストでいうところの聖遺物のようなもの。ドイツのヘッセン州立博物館に、ワンフロアをまるごと使ってボイス作品を展示している「ブロック・ボイス」という部屋がある。≫ ≪アートの中でもとりわけ現代アートは、見る人への問いかけを含んでいる。≫|原田さん:≪内藤礼さんのインスタレーションには「結界」という言葉が合っている。≫ ≪大竹伸朗作品からは雑多なノイズやイメージが奔流のように押し寄せてくるのを感じる。≫||大竹伸朗さんが直島で家をまるごとインスタレーションにした「はいしゃ」(ほんとのタイトルは「舌上夢/ボッコン覗(のぞき)」)と「I ♥ 湯」、ぜひ行かなきゃ!
|香港は、CHAT のほか、香港アートミュージアムが2019年冬にリニューアルオープン。文化複合センターの「大館(タイクゥン)」。数年後にはアジア最大規模の現代美術館 M+ もオープン。|ヴェネツィアのビエンナーレは、これから何としても行かねば! 国内では 広島市現代美と丸亀市猪熊弦一郎現代美。)


令030119 ミネルヴァ日本評伝選 正岡子規 俳句あり則ち日本文学あり    (ミネルヴァ書房、令和2年刊)   井上泰至(やすし)
(過去の人物はそれぞれに、未来を確認することなどできず手探りで生きていた。だからその人を取り巻く人々の発言でその人を浮かび上がらせようとする本書。漢学青年で江戸文学愛好者であったからこそ、ポッと出の子規は月並宗匠を攻撃できた。しかしまぁ、ぼくが子規に対面したら、負けん気ばかり先行するさまに辟易して嫌悪したろう。虚子への子規の思い入れも強引で嫌だ。|秋山真之へ子規が手向けた歌「戦をもいとはぬ君が船路には風吹かば吹け波立たば立て」|子規のこれは名言 ≪余は今まで禅宗の所謂悟りという事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬ事かと思つて居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きている事であつた。≫|死後の子規に漱石が手向けた句「長けれど何の糸瓜とさがりけり」「どつしりと尻を据えたる南瓜かな」)

令030114 ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」    (光文社、令和元年刊)   Albert-Laszlo Barabasi 著、江口泰子 訳
(「成功」とは個人的なものではなく集団的なもの、という認識でスタートする。だから佛教的人生論ではなくネットワーク社会科学なのである。基本的に、ダメなひとは永遠にダメだし、ダメな経路に頼るかぎりダメ。そしてトップレベルは実力的には甲乙つけがたく、そこで抜きん出るには強みのあるところで不屈の精神でトライしつづけて成功確率を上げるしかない。人間は、活力は衰えても能力は劣化しない。若いときに成功があるように見えるのは、活力ゆえにトライをしつづけるから。|いっぽうグループ作業は、ある特定のリーダーがこなす作業が多いほど成功する。リーダーが多すぎると口論や足の引っ張り合いやいじめが横行し、人間の醜い部分が引き出されてしまう。オールスターチームではダメ。ビジョナリーのもとで意見を戦わせ、皆が平等に貢献できる機会が与えられていることがだいじ。≪重要なのはコミュニケーションの取り方。感情のシグナルを読む個人の能力が平均より優れたチームは、作業をうまくこなす。少数メンバーが会話を独占するチームより、メンバーが平等に会話するチームのほうが、集団的知性が高い。というわけで、女性のメンバーがいるチームは集団的知性が高い。≫|集団作業でも、功績を認められるのはひとりだけ。だから、自分がワクワクできるプロジェクトで自分の名をなす戦略を考えねばならない。アイディアは二束三文。アイディアをかたちにする能力、アイディアを発見に転換する能力= Q Factor がカギ。そしてこの Q Factor は生涯不変。だいじなのは、自分の Q Factor が輝くような職業や分野を選び、けっしてあきらめないこと。)

令030113 「繊細さん」の本 「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる    (飛鳥新社、平成30年刊)   武田友紀 著
(ぼくはまさしく HSP だった。それが藝術への感性もはぐくんでいるのにちがいないが、単調な音や他人の話声、他人の手指・足の動きが気になって仕方がないのは、それ。どうやら大多数のひとはそうではないらしい。清水潤子さんがプレゼントしてくれた。)

令030110 初老耽美派 よろめき美術鑑賞術     (毎日新聞出版、令和元年刊)   高橋明也・冨田 章・山下裕二 鼎談
(3人が揃いも揃って「爺むささ」を押しつけてくるのに辟易。高村光太郎はロダンにかぶれ、佐藤朝山のような明治工藝の超絶技巧をおとしめてかかり、これに世間が付和雷同したのが明治工藝凋落の所以と。光太郎にすれば、佛師で彫刻家の父・光雲へのコンプレックスの裏返しにすぎなかった。|国宝絵画は渡辺崋山「鷹見泉石像」(1837年)が時代的に最新で、重文指定は安田靫彦「黄瀬川(の)陣」という。文化行政の価値観は古すぎ。|尾竹國観・越堂・竹坡の尾竹三兄弟がすごいらしい。山本芳翠「浦島図」も異様なみごとさ;岐阜県美術館所蔵。中園孔二は25歳で夭折するまで500点の作品を残しているが、山下裕二さんがそれを一堂に並べる展覧会を夢想している。海外に出したら一気にスターになると。同感なり。)

令030109 英語に好かれるとっておきの方法     (岩波ジュニア新書、平成28年刊)   横山カズ 著
(≪言えるものは聞き取れる!≫ 英語の w/r 音をひと括りにしてエル音と対比させるというアプローチもいい。 ≪正しい音読をくり返すことで聞く力もついてきます。「発音ができるようになると聞き取りが楽になる」というのは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能の相互作用についての基本的な考え方です。≫ 4技能を身につけることで、自分の中に眠っているさまざまな魅力や能力に気づくことができる。その過程で英語と自分の心が強く結びつき、英語の瞬発力が強化される。語彙を水面下の「守りの語彙」と水面上の「攻めの語彙=自由に使いまわせる語彙」という構造でとらえる。≪話すスピード(fast)の大切さについては意識されやすいが、それより重要なのが 思いつく速さ(quick)の概念。≫ No one ever died of embarrassment. 「恥かいてナンボや」)

令030108 音の世界の心理学 第2版    (ナカニシヤ出版、平成26年刊)   重野 純(しげの・すみ)
(著者は青山学院大教育人間科学部心理学科教授。知覚できない超音波も脳に α波を生じさせる働きがある。音の「わずらわしさ」の概念は残念ながら本書で扱っていない。|音源定位 sound localization ; 聴空間 auditory space ; 両耳効果 binaural ; 音痴 tone deafness )

令030106 音響入門シリーズ A-1 音響学入門     (コロナ社、平成23年刊)   日本音響学会 編
(回折について興味あり。バリアフリー音のキモとなるファクターだ。強度差や時間差による音源方向の知覚には 1.5 kHz 以上の周波数の高い音が有効。|アノイアンス(「うるささ」)は、騒音に対する総合的な心理的不快感を表す量だが、個々人のアノイアンスをよい精度で求めるのは困難で、コミュニティの何パーセントが不快と感じるか統計量で計測するしかない。||大串健吾著『音響聴覚心理学』(誠信書房、令和元年刊)は斜め読みしたが「アノイアンス」関連の記述なし。文献目録は充実。)

令030106 カラマーゾフの兄弟 3     (光文社古典新訳文庫、平成19年刊)   F. M. Dostoyevsky 著、亀山郁夫 訳
(第3部。父フョードルの死とモークロエでの饗宴。グルーシェニカが一転ドミートリーに愛を誓うところに、かえって女のリアリティを感じる。)



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